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2006/07/17

男乗り、女乗り

読者のみなさんは、このタイトルから何を連想されますか? 実はこれ、鉄道の乗り方なんです。随筆家の酒井順子さんが名づけたもので、鉄道には二通りの乗り方があるみたいですね。

「男乗り」は主に男性にみられ、時刻表や路線の歴史、車両のメカニズムなど、鉄道のオタク的な知識にとことんこだわる乗り方。これに対して「女乗り」は情緒的な乗り方で、車窓からの景色はもちろん、沿線の名所や美味しい店、さらには郷土史などにも関心が広がります。

男乗りのナンバーワンは、川島令三さんでしょうか?鉄道のあらゆる分野に通じていて、たくさんの著書のなかに専門知識がたっぷりと盛り込まれています。他には、鉄道史に造詣の深い原武史さん、車両に詳しい石本祐吉さんが思い浮かびます。わたしも含めて、鉄ちゃん(鉄道ファンの俗称)と呼ばれる人たちはこちらに分類されるようですね。

女乗りとしては、「時刻表2万キロ」がベストセラーとなった故・宮脇俊三さん、レイルウェイ・ライターを自称する種村直樹さん、古いところでは、「阿房列車」で有名な作家・内田百閒(ひゃっけん)といったところかな。いずれも旅情たっぷりな文章で、鉄道のトリビアにはそれほどこだわっていません。

410387603401_scmzzzzzzz_v66844522_1今日読み終えたのが、関川夏央さんの「汽車旅放浪記」。関川さんは女性には珍しい鉄道ファンですが、鉄道の知識にやたら詳しいので驚きました。エッセイの中に、「軌間」「閉塞(へいそく)」「相対式(そうたいしき)ホーム」「軽便(けいべん)鉄道」「盲腸線(もうちょうせん)」といった専門用語がぽんぽん飛び出し、まさに「鉄子さん鉄ちゃん」の世界。これほど鉄道に詳しい女性の文章家は初めてです。(コメントを参照)

そういった「男乗り」の一面を見せながらも、沿線の風景や車内の様子に、夏目漱石や太宰治、松本清張といった作家の鉄道に関するエピソードが加わり、女性らしさも十分に感じられる紀行文となっています。

「男乗り」と「女乗り」、なんだか左脳と右脳の関係に似ていますね。工学や経営学など論理性を重んじる左脳と、文学やグルメなど情緒性が得意な右脳。このバランスの良さに関川さんの本の面白さがあるのかもしれません。

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コメント

>今日読み終えたのが、関川夏央さんの「汽車旅放浪記」。関川さんは女性には珍しい鉄道ファンですが、鉄道の知識にやたら詳しいので驚きました。

そりゃ、驚くでしょう。
そもそも、関川夏央さんは、男性ですし

投稿: すぺしゃるうぃーく | 2006/07/22 00:16

うひゃ~、そうなんですか~。
女性のライターに、これほど鉄道の専門知識に
詳しい人がいるのかと感心していたのですが。

酒井順子さんの書評を読んで、てっきり女の人と
勘違いしていました。
読み終えても気がつかないところがすごい。

ご指摘ありがとうございます。
訂正しておわび申し上げます。


投稿: あかしろ城主 | 2006/07/22 07:28

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